授乳基礎

哺乳ストライキって??急におっぱいを飲まない赤ちゃんの原因と対処法

赤ちゃんが昨日まで元気におっぱいを飲んでいたのに、ある日を境に急に飲まなくなってしまうことがあります。

「嫌われたのかな」「母乳が出ていないのかな」と不安になってしまいますが、その状態は「哺乳ストライキ」と呼ばれるものかもしれません。

哺乳ストライキは、多くの赤ちゃんに起こりうる一時的な変化で、お母さんや母乳に原因があるわけではありません。

この記事では、哺乳ストライキとはどのような状態なのか、その原因や対処法、病院へ行く目安などを、お母さん向けにわかりやすく解説していきます。

   

突然来たらびっくりするので、焦らないように備えておきましょう!

   

     

哺乳ストライキとは??

まずは、哺乳ストライキとはどのような状態を指すのか、基本的なところから整理していきましょう。

断乳や卒乳との違いもあわせて知っておくと、今の赤ちゃんの様子を冷静に見やすくなります。

    

【哺乳ストライキ】の基本的な意味

哺乳ストライキとは、これまでおっぱいをよく飲んでいた赤ちゃんが、ある日突然、授乳を嫌がったり飲まなくなったりする状態を指す言葉です。

多くの場合、お母さんが授乳しようとすると顔をそむけたり、乳首をくわえてもすぐに離したり、泣きながらのけぞったりします。

それまで機嫌よく飲んでいたのに、急に態度が変わることが多いため、お母さんは「急にどうして」と強い不安を感じやすくなります。

しかし哺乳ストライキは、赤ちゃんが何かの理由で一時的に授乳を拒否している状態であり、お母さんを嫌いになったわけでも、必ずしも母乳の質が悪くなったわけでもありません。

数日から1〜2週間ほどで落ち着いてくることが多い、一過性の変化と考えられています。

    

哺乳ストライキと断乳や卒乳の違い

哺乳ストライキとは似ているようで、断乳や卒乳とはまったく性質が異なるものです。

断乳は、お母さんの都合や家族の方針で計画的に授乳を終えていくことであり、卒乳は、赤ちゃんの成長に伴って自然におっぱいから離れていく流れを指します。

これに対して哺乳ストライキは、まだ授乳を続ける時期なのに、突然おっぱいを嫌がるようになる「予想外の変化」です。

      

哺乳ストライキが起こりやすい時期

哺乳ストライキとは、どの月齢でも起こりうるものですが、とくに起こりやすい時期がいくつかあります。

一般的には、生後2〜4ヶ月ごろ、生後6〜8ヶ月ごろ、1歳前後など、赤ちゃんの発達が大きく変化するタイミングによく見られます。

目がよく見えるようになって周りの刺激が気になり始めたり、寝返りやずりばいで体をよく動かすようになったりと、赤ちゃんの興味の対象がぐっと広がる時期です。

また、離乳食が始まるころや、復職などでお母さんとの生活リズムが大きく変わるころに、一時的におっぱいを嫌がるようになる赤ちゃんもいます。

このような節目の時期には、授乳リズムが変化しやすいため、「もしかして哺乳ストライキかも」と意識して見守ってあげると安心です。

   

1歳過ぎなら自然卒乳も考えられますね!!

    

哺乳ストライキのよくあるサイン

哺乳ストライキとはどのような様子で現れるのか、代表的なサインを整理しておきましょう。

  • 乳首をくわえようとしない、口を固く閉じてしまう
  • くわえても数秒で離して大泣きしてしまう
  • 授乳の体勢にしようとすると、反り返って嫌がる
  • おっぱいは嫌がるのに、哺乳瓶や搾乳なら飲む
  • 昼間は飲まないのに、眠いときや夜間だけ飲む
  • 以前より授乳時間が極端に短くなった

これらのサインが当てはまるからといって、必ずしもすべてが哺乳ストライキとは限りません。

    

哺乳ストライキが赤ちゃんへ与える影響

哺乳ストライキとはいえ、赤ちゃんがおっぱいを飲まない日が続くと、体への影響が気になります。

影響の種類起こりやすい変化
水分・栄養状態おしっこの回数減少、体重増加のペース低下
機嫌ぐずりが増える、睡眠が浅くなる
お母さんの体張りや痛み、しこり、乳腺炎のリスク
心の面お母さんの不安感、自己否定感の増加

数日程度であれば、少し授乳量が減っても大きな問題にならないことが多いですが、おしっこの回数が極端に減ったり、元気がない様子が続く場合には、早めに小児科で相談しましょう。

       

哺乳ストライキの主な原因を知って心配を減らす

哺乳ストライキとは何かがわかったところで、「なぜ急に飲まなくなるのか」が気になる方も多いと思います。

原因を知ることで、「自分のせいではないかも」と気持ちが少し楽になることもあります。

    

赤ちゃんの成長による環境の変化

哺乳ストライキとは、赤ちゃんの成長の一場面として現れることも多いです。

目や耳が急に発達して周囲の音や光が気になるようになり、集中しておっぱいを飲めなくなってしまうことがあります。

また、寝返りやずりばいができるようになると、「動きたい」という気持ちが強くなり、授乳よりも遊びを優先したがることもあります。

このような場合は、静かで暗めの部屋で授乳する、テレビやスマホなどの音や光を減らすなど、環境を整えることで、落ち着いて飲んでくれることがあります。

      

体調不良や痛みによる一時的な拒否

哺乳ストライキとはいえ、その背景に赤ちゃんの体調不良が隠れていることもあります。

体調の変化授乳への影響
鼻づまり鼻で息がしづらく、おっぱいをくわえ続けられない
口内炎や口の傷吸うと痛みを感じ、飲むのを嫌がる
中耳炎など耳の痛み吸うときの圧で耳が痛み、反り返って泣く
発熱や風邪全身がだるく、飲む力が弱くなる

このような場合は、哺乳ストライキとはいえ「心の変化」だけでなく、体の痛みや苦しさが関係しているので、小児科での診察が必要になることがあります。

咳や鼻水、熱、耳をよく触る仕草、口の中の白いできものなど、気になるサインがあれば、早めに受診を検討しましょう。

        

おっぱいや授乳スタイルの変化

哺乳ストライキとは、おっぱいそのものの変化や授乳の仕方の変化によっても起こりえます。

たとえば、急な食生活の変化やサプリ、薬の影響などで、母乳の味や匂いがいつもと違うと、赤ちゃんが違和感を覚えて飲みたがらないことがあります。

また、哺乳瓶での授乳が増え、そちらの方が吸うのが楽だと感じると、「おっぱいより哺乳瓶がいい」と選ぶようになることもあります。

授乳姿勢を急に変えた、授乳間隔を大きくあけた、環境が騒がしくなったといったことも、赤ちゃんにとっては大きな変化です。

可能であれば、赤ちゃんが安心しやすいいつもの姿勢や環境に戻してみると、落ち着いて飲めるようになることがあります。

        

自宅でできる具体的な対処法

ここでは、自宅でできる現実的な対処法をご紹介します。

すべてを完璧にやろうとせず、できそうなことから一つずつ試してみてください。

    

授乳環境を整えて赤ちゃんを落ち着かせる

哺乳ストライキとはいえ、環境を少し変えるだけで飲み方が改善することがあります。

  • 部屋の明かりを少し暗めにする
  • テレビや音楽を消し、静かな空間にする
  • スマホを見ず、赤ちゃんだけに意識を向ける
  • 授乳クッションなどでお母さんの体を安定させる
  • 肌と肌が触れ合う時間を増やす(抱っこや添い寝)

特に、目や耳が発達して周囲が気になりやすい月齢では、刺激を減らしてあげることで授乳に集中しやすくなります。

お風呂上がりや眠そうなタイミングなど、もともとリラックスしやすい時間帯を狙うのもおすすめです。

今までと違う方法が意外としっくり来たりすることもあるので、試してみましょう。

      

授乳方法を工夫して飲みやすくする

哺乳ストライキとはいえ、授乳の仕方を少し変えることで、赤ちゃんの負担を軽くできることがあります。

次のような工夫を、赤ちゃんの様子を見ながら試してみてください。

工夫のポイント具体的な方法
授乳のタイミングお腹が空きすぎる前に、眠そうなときやぼんやりしているときに授乳してみる
授乳姿勢縦抱き、フットボール抱き、添い乳など複数の姿勢を試す
片側ずつ授乳片方を短時間飲ませ、休憩をはさんでからもう片方を試す
搾乳の活用直接吸うのが難しいときは、搾乳して哺乳瓶やスプーンで与える

どうしても直接飲めないときに、少量でも搾乳した母乳やミルクを飲んでいれば、脱水を防ぎやすくなります。

ただし、哺乳瓶の楽さになれてしまっている場合は、乳首の形や流量を見直したり、少しずつ直接授乳の時間を増やしたりと、バランスをとることも大切です。

      

お母さん自身の心と体を守る

哺乳ストライキとは、赤ちゃんだけでなく、お母さんの心にも大きな負担をかけやすい出来事です。

「飲んでくれないのは自分のせいだ」と責めてしまう方も少なくありません。

しかし、哺乳ストライキは多くのご家庭で起きており、お母さんの育て方が悪いわけでも、母乳に問題があるわけでもありません。

周りの家族に「少し抱っこを代わってもらう」「家事を一部お願いする」などして、短時間でも自分の休憩時間をつくりましょう。

お母さんの心と体に余裕が生まれると、授乳の時間にも少し笑顔が戻り、赤ちゃんも安心しやすくなります。

       

病気や他の問題との見分け方

哺乳ストライキとはいえ、病気が隠れていないかどうかは、やはり気になるところです。

ここでは、病院受診の目安や、母乳の量との関係について整理しておきます。

小児科を受診したほうがよいサイン

哺乳ストライキとは単なる一時的な変化なのか、それとも病気が隠れているのかを判断するために、次のようなサインがないか確認してみてください。

  • おしっこの回数が1日4回未満で、色が濃く匂いも強い
  • ぐったりしていて、あやしても笑顔が少ない
  • 38度以上の発熱が続いている
  • 泣き方が普段と明らかに違い、長く続く
  • 顔色が悪い、唇の色が紫っぽい
  • 嘔吐や下痢が続いている

これらが見られる場合は、哺乳ストライキとは別に体調不良が関係している可能性があります。

自己判断で様子を見るよりも、早めに小児科を受診し、安心材料を増やしておくとよいでしょう。

     

体重やおしっこの様子のチェック

哺乳ストライキとはいえ、数日程度であれば体重が急激に減ることは少ないですが、長引いた場合には注意が必要です。

自宅にベビースケールがあれば、数日に一度、だいたい同じ時間帯に体重を測り、増え方を確認してみましょう。

また、おしっこの回数は水分状態の大きな目安になります。

基本的には、1日に5〜6回以上、色の薄いおしっこが出ていれば、急激な脱水の可能性は低いと考えられます。

ただし、回数が少ない、濃い黄色〜茶色っぽいなど、いつもと違う様子が続くときには、受診を検討しましょう。

     

母乳不足やおっぱいトラブルとの関係

哺乳ストライキとは、必ずしも母乳不足が原因とは限りませんが、おっぱい側の変化が関係していることもあります。

たとえば、強い張りで勢いよく母乳が出すぎてびっくりしている、逆に分泌が減ってきて飲みにくくなっているといったケースです。

また、お母さんが乳首に傷や痛みを抱えていて、無意識のうちに授乳を怖がってしまい、赤ちゃんにもその緊張が伝わることもあります。

おっぱいの張りやしこり、赤み、熱っぽさ、乳頭の切れなどがある場合は、乳腺炎のリスクもあるため、早めに母乳外来や助産師さんに相談すると安心です。

     

専門家への相談やサポートの活用

哺乳ストライキとは、一人で悩みを抱え込みやすいテーマですが、頼れる専門家やサポートはたくさんあります。

上手に活用することで、お母さんの心も体も少し軽くなります。

    

助産師や母乳外来に相談するメリット

哺乳ストライキとはいっても、「赤ちゃんの吸い方」「おっぱいの状態」「授乳姿勢」などを専門家の目で見てもらうと、改善のヒントが見つかることがあります。

相談先相談できる内容
母乳外来おっぱいのトラブル、授乳姿勢、搾乳の仕方など
助産師外来赤ちゃんの飲み方、体重の増え方、育児全般の不安
自治体の保健センター発育相談、授乳相談、育児教室の情報

実際に授乳している様子を見てもらうことで、「この姿勢のほうが飲みやすいよ」「ここを少し支えてあげると楽だよ」といった具体的なアドバイスがもらえます。

一人で情報を調べ続けるよりも、短時間で安心できることも多いので、気になるときは早めに頼ってみてください。

     

家族や周囲の協力を得るコツ

哺乳ストライキとは、お母さんだけで対応しようとすると、心身ともに疲れやすくなります。

パートナーや家族に、今赤ちゃんに起きていることや、自分の気持ちを素直に伝えてみましょう。

  • 「今は授乳で手いっぱいなので、家事を少し手伝ってほしい」
  • 「授乳のあと、赤ちゃんを抱っこして寝かしつけをお願いしたい」
  • 「話を聞いてもらえるだけでも気持ちが楽になる」

具体的にお願いすると、家族も動きやすくなります。

また、同じような経験をしたママ友やオンラインコミュニティの声を聞くことで、「自分だけじゃないんだ」と安心できることもあります。

  

哺乳ストライキを乗り越えるための心構え

ここまで、哺乳ストライキとは何か、原因や対処法をお伝えしてきました。

最後に、これからの授乳期間を少しでも穏やかに過ごすための心構えをまとめます。

哺乳ストライキとは、赤ちゃんの成長の一場面であり、「ずっとこのまま続く」ことはほとんどありません。

多くの赤ちゃんは、数日から1〜2週間ほどで、何事もなかったかのように再びおっぱいを飲み始めます。

できる対策を少しずつ試しながら、赤ちゃんの体調やおしっこの様子を見守り、必要なときには小児科や助産師さんに頼る。

その積み重ねが、十分すぎるほど「がんばっている」証です。

哺乳ストライキとは、お母さんと赤ちゃんが一緒に乗り越えていく小さな試練のようなものですが、その先にはまた、新しい笑顔の時間が待っています。

どうか一人で抱え込まず、周りの力も借りながら、少しずつ前に進んでいけますように。

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